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2024.9.24 気候危機・脱炭素・気候正義:明日香壽川先生 講演レポート

2024.9.24にオンラインで、「気候危機・脱炭素・気候正義」というテーマで、東北大学環境科学研究科環境科学政策論 教授の明日香壽川先生にお話しをいただきました。

明日香先生は、まだ人々の意識がそんなところにはぜんぜん向いていなかった2015年に、「クライメート・ジャスティス 温暖化と国際交渉の政治・経済・哲学」という本も出版されていて、世代間そして地域間にある気候問題における不公正について、早くから問題意識を持ち続けておられます。

明日香先生のお話し

 気候変動/気候危機が大きな地球規模での課題として意識されるようになっていますが、今よりももっと、より大変な目に遭うのは未来世代なので、まさにその未来世代のために気候変動をなんとかしなきゃいけない、そのために脱炭素をしなきゃいけないということは、 いわゆるよく言われる一丁目一番地なのかなと思ってます。

【なぜ1.5度が目標なのか?誰がきめたのか?】

「カーボン・バジェット」という言葉は「予算」という意味で、地球の気温上昇を一定のレベルに抑えるために、温室効果ガスの累積排出量の上限を決めるという考え方です

1.5℃目標というのは、科学というよりもむしろ政治的に決まっていった数字です。
パリ協定(2015年COP21)では当初2℃上昇までに抑えるというのを目標にしていました。
でも、世界平均で2℃上昇ということは、アフリカでは3℃上昇することになり、それはアフリカに対してのジェノサイドだ!との訴えがあり、1.5℃までに気温上昇を抑えることを目標にすることで決着した、という経緯があります。


大切なことは、日本の1.5℃目標というのは、ぜんぜん足りていなくて、実際には2020年からほとんど減らしていないので、今からだと「2025年には排出量ゼロにしないといけない」ということなんです。

Green Transition 2035

みんなで合意をとって、世界の平均気温を1.5℃までに抑えるために「Green Transition 2035」というレポートを出しました。

合意をとるとは、ひどく電気代が高くなったり、停電になったりしないようにということを意識して、
かつ、なるべく多く温室効果ガスを減らすには、どういうような政策を取ればいいのか、どういうようなエネルギーミックスをと作ればいいのかということを、一生懸命考えて作ったシナリオ・レポートです。

こちらからダウンロードしてお読みいただけます。
https://green-recovery-japan.org/

このレポートでは、2030年までに原発ゼロ、石炭火力ゼロ。
そして、再エネ電力割合については、2030年58パーセント、2035年80パーセント、2040年100パーセントという前提を置いてつくっています。

で、このレポートでは、日本政府が使っている2013年比でいうと、2030年に71パーセント、2035年には81パーセントが、世界平均気温上昇を1.5℃に抑えるための、日本に必要な削減目標ということになります。

今年エネルギー基本計画の改訂年を迎えていて、日本各地で日本政府の脱炭素(NDC)目標引き上げを働きかけておられる方がいると思うので、このレポートの数字、ぜひ使っていただければと思います。

この他明日香先生からは、グリトラの中身に対してや、質疑の中でもエネルギー問題について、かなり広範なお話しをしていただきました。

学びたい方は、下記に録画をアップしていますので、ご活用いただければと思います。

当日の資料は、こちらからダウンロードいただけます。
https://futuregenerations.jp/wp-content/uploads/2024/09/2024_9_24%E6%98%8E%E6%97%A5%E9%A6%99%E5%A3%BD%E5%B7%9D%E5%85%88%E7%94%9F%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89%EF%BC%88%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E4%B8%96%E4%BB%A3%E6%B3%95%EF%BC%89.pdf

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