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日本の子ども議会・若者議会事例1:山形県遊佐町

人口およそ1万3千人。山形県の日本海側にある遊佐町では、若者の力によるまちづくりをめざし、遊佐町在住・在学の中学生と高校生の中から「少年町長」と「少年議員」を直接選挙で選び、少年議会を開催しています。

日本で子ども議会や若者議会をもつ自治体は多くありますが、この遊佐町が決定的に違うところは、実際に選挙を行い、自分たちの政策を実現するための独自の予算を持っていることです。

少年町長(1名)と少年議員(議員定員10名、立候補者が10名に満たない年は、欠員のまま)は、遊佐町の若者の代表として「中学生・高校生の政策」を議論し決めています。

そして町の予算45万円をもとに、政策を立案し、実現させる取り組みです。
(予算は、この少年議会がはじまった1期には50万円、2期は75万円に上がったが、全部を使いきらなかったこともあり、3期は50万、4期以降は45万円でまかなわれているという。令和5年度は第21期。)

選挙は本格的。投票前には選挙公報が発行され、立候補者の顔写真と立候補した理由・当選後に実現させたい政策などが記されています。

(この写真はNHK政治マガジンのページよりお借りいたしました。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/84982.html

有権者は、遊佐町在住もしくは町内の学校に通う中高生およそ600人。

町では、その政策を尊重し実現を図り、また少年町長と少年議員は、自分達の決めた政策を実現する。

年に3回ほど開催される少年議会と、議会と議会の間には、全員協議会が開催され、施政方針の決定、今年度の政策の内容の決定、遊佐町への一般質問の内容などが話し合われる。

令和5年度の少年議会の施策は、「スポーツゴミ拾いの開催」と「遊佐町の伝統を体験できるイベントの開催」の二つ。

遊佐町では「少年議会」のほかにも、家族連れでの投票を促すために、投票所にくじ引きを設置したり、高校生がボランティアとして、投票所の手伝いをしたりして、投票率アップに向けた取り組みを行っているおかげか、遊佐町はじめ山形県の選挙投票率は全国1,2位を誇る高さだとか。

遊佐町で少年議会がはじまったのは、2003年から。
ちょうどその頃、平成の大合併(平成の大合併は、平成11年(1999)から政府主導で行われた市町村合併で、平成17(2005)前後に最も多く合併が行われ、平成22年(2010)3月末に終了した)、少子高齢化、若者の流出が顕著になってきて、若者たちに自治体に関心を持ってもらうことが主な目的だったという。

それまでにも、若者の意見を聞く仕組みが遊佐町にはあったが、ただ意見を聞いても聞きっぱなしの状態だった。
ちゃんと選挙で選び、予算もつけるようになったのが2003年からだと言う。

イングランド北部の街、ミドルズブラ(Middlesbrough)をモデルにしているという。

【参考資料】

山形県遊佐町WEBページ/子育て・教育/社会教育・生涯学習/令和5年度遊佐町少年議会 ほか

NHK政治マガジン:「ぼくが町を動かす!」少年、町長になる

公益財団法人民間放送教育協会:発見!人間力 其の39 少年町長のマニフェスト〜まちを変える!主役は高校生

【電話取材】

山形県遊佐町 少年町長・少年議員公選事業事務局 遊佐町教育委員会 社会教育係 風間様に電話取材にご協力いただきました。ありがとうございました。

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