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ウェールズ初代未来世代コミッショナー・ソフィーハウさん、TEDトーク

ウェールズで未来世代コミッショナーを務めるソフィ・ハウさんは、1977年生まれ、5人のママです。

以前は地方議会の議員や、過去二人の首相の特別顧問、警察の副長官などをしてきた方だそうです。

そのソフィーさんのTEDトークが公開されていました。

日本語字幕を選ぶことができます。

【字幕書き起こし】

ウェールズは小さいけれども進歩的な国です。

世界で唯一将来世代の利益を守る法律を作った国であり、

世界で唯一 それを監督するための独立した役職を設立した国でもあります。

世界のどこでも 政府や政治や経済のシステムは

短期的に動く傾向があります。

また決定を下す際に、将来世代の利害や地球のことが軽視されがちです。

しかしウェールズはそんな状況を変えようと

法制化という手段を通して政府だけではなく

すべての主要な公的機関に対して

それぞれが長期的な視野に立って活動していること

その決定が将来世代の利益を損ねないことを示すよう求めています。

さて、私は5児の母として、

また世界で唯一の将来世代コミッショナーとして

今日は世界を今よりも良い場所にして残そうとする取り組みから

学んだことをいくつかご紹介したいと思います。

まずは 長期目標を立てるときに みんなを巻き込まねばなりません。

こう尋ねてください。

「あなたが子供や孫に残したいのは、どんなウェールズ、どんな世界ですか?」

全国で催した対話集会 Wales We Wantでは、こんな声が返ってきました。

「低炭素社会にしたい」

「病気になってから治療するよりも 健康維持できるようにしてほしい」

「地域同士がつながった より平等なウェールズにしたい」・・・

そこで政府は それらの達成に向けて 7つの幸福度目標を法制化しました。

それぞれの機関が目標を実現する方法を示さればならず、

それを検証するのが私です。

着目すべきは、幸福が持つさまざまな側面の関連性です。

それがなぜ 環境とおなじくらい公衆衛生にとっても大切かを 伝えないことには、

深刻な大気汚染は解決できません。

労働力の多様性が、なぜ不平等の解消と同じくらい経済の繁栄にも大切かを伝えることも必要です。

我が国の機関は、法律によって目先の権限を越えて行動を起こし、

さまざまな関連性に気付いて、通常とは違う遠因を扱う義務があります。

こうしてウェールズの病院は ウェールズ国立植物園と協力し、

それぞれの敷地内に自然のスペースを設けています。

環境庁の内部には、恵まれない子供のための対策事務所が設けられています。

あなたも幸福度を指標にしてください。

自分の行動の全てを、幸福度の4本の柱である

社会、経済、環境、文化に照らしてみてください。

なぜならあまりに長く 各国政府が経済の成長とGVA(粗付加価値)の増加を成功の指標にしてきたからです。

でもウェールズの成功の指標は 7つの幸福度目標です。

ですから政府が新しい高速道路の建設に、約2千億円費やすのが良い案だと考えたときも、

幸福度指標を当てはめただけで、

実は みんなを健康にしたければ、排出目標をかなえたければ、自然を守りたければ、

手持ちの資源を最も貧しい人たちに振り向けたければ

公共交通と健康的な移動の方が はるかに良い選択肢だと分かったのです。

そこで政府はそのように行動しています。

あなたも幸福度への貢献を最大にすることを目標にしてください。

景気刺激策を、環境にまつわる仕事や、コロナ後の家庭の省エネ政策に充てる計画は、大変良い考えです。

でもそれらの仕事の対象を必ず、職に見放された人々に向けなければなりません。

でないと不平等を解決する機会が生かせないからです。

事業をトータルに考えてください。

炭素を減らそうと新しい病院に太陽光パネルを付けたところで、

別のところで排出しては何にもなりません。

患者の通院も持続可能な方法にしないといけないのです。

さて、私たちの首都カーディフでも、世界の多くの都市と同じく

深刻の大気汚染や、長い通勤や渋滞や、

持てる者と持たざる者の余命の格差に悩まされています。

では解決に結びつくのはどんな行動でしょうか

まず必要なのが、公的機関同士の協調です。

そうした結果、公衆衛生のコンサルタントを、衛生局から地方自治体に派遣して、交通戦略の策定を主導してもらいました。

また公衆衛生という視点から交通問題を眺めると、

これまでとは違う解決策が見えてきます。

公的機関は全体を合わせると、カーディフで3万人を雇用していたと気づき、

今では職員に持続可能な通勤を奨励しています。

これまでの10倍の投資が、安全な自転車道や歩道の整備に向けられました。

さらにその自転車用・歩行者用インフラの対象になったのは、

大気汚染が最も深刻で、平均余命が最も短い地域でした。

またカーディフでは、医師による処方箋には、

コレステロール薬だけでなく、無料のレンタル自転車も含まれ、

運動の効果が見込まれる患者に処方することができます。

さらに自転車用のインフラを整備したついでに

持続可能な下水道も整備しました。

4万立法メートル以上の水を排出する方法を、

旧来の下水道システムから、自然にかなった方法に切り替えました。

その過程で自然拠点も作りました。

各地域の美化と緑化を行なって、コンクリートジャングルを変貌させたのです。

その地域から市の中心部へと移動してみると、

あちこちで自動車通行止めの区域に出会います。

壮観な中世の城のすぐ外で人々が落ち合ったり、ビジネスを営んだりできるのです。

私たちはこうして幸福度をウェールズの活動に組み込んでいます。

こうして将来世代の利益を守り、より良い未来のために 今 行動しているのです。

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