2026年9月4日金曜日17:00~19:00(Zoom)

未来世代のための市民委員会は、ウェールズ未来世代法に学び、日本のあらゆる政策が、現世代も、未来世代も大切にする仕組み作りを目指しています。
昨年9月、『未来のために今日行動する』の出版を記念して、原著者で未来世代法を提案したJane Davidsonさんが初来日しました。それから一年、今の日本で「法のもつ力」が、現世代と未来世代の暮らしを守るために、どう作用しうるのかを、市民のみなさんとともに考えるために、9月4日にオンラインのシンポジウムを開催しました。
Janeさんと日本の三人の研究者、実践者のみなさまは、次世代に希望を渡す方法、よりよい未来を創るツールとしての法律の力、仕組みを変えることの大切さを伝えてくれました。
Jane Davidsonさん講演「もし未来世代の利益を、現世代同様、法的に保護したら何が起きるか?」
Jane さんは、日本の私たちに「希望」を届けたいと登壇を快諾してくださいました。
今回はこれまでと、今起きているウェールズの事例をお話くださいました。
ウェールズ未来世代法には、「7つの目標」が定められており、国や公的機関が、このすべてについて達成を義務付けられています。

この目標の文言は、2014年に行われた国民的対話で人々に「どんな国に住みたいのか」を聞き、人々から出された声に基づいています。Janeさんが今回強調したのは、各地域で人々の声を集めたのが、政府ではなく、大小様々なNGOの包括支援組織によって、若者や気候活動家などと協働して行われたことに意義があったということです。

Janeさんは現在、ウェールズ政府およびプライド・カムリ党の指導者から依頼されて、国のネットゼロ計画の議長を務めています。世界の一流の研究所の知見を使い、政府が2050年までに目標を達成するために、今取るべき行動について、10年の実行計画を策定しました。その結果、ウェールズは英国全体を上回るペースで達成見込みです。Janeさんは、政府にはこれについても再び国民的対話をして、人々の声を呼び起こしてほしいと強く願っています。
また、最近の動向として、ウェールズ政府が気候変動と自然損失を一体の課題として扱う取り組みなども紹介されました。
最後に、Janeさんは私たちに、持続可能性を前進させるために、「お互いを十分に愛せているでしょうか」と問いかけられました。

大久保規子先生講演「法の力で未来世代の権利を守る~世代間衡平とオーフス条約」
今、私たちの環境権、先住民族やコミュニティの権利、将来世代や自然の権利が認められ始めています。その基礎として、知る権利、参加する権利、救済を求める権利が必要とのお話でした。
エクアドルでは自然の権利を憲法で認めました。予防的措置や、エクアドルならではのやり方をとるなど、未来世代法との共通点もあるそうです。
権利を実現するためには、具体的な意思決定の仕組みが必要です。
決定するためには情報が必要で、決定が間違っていたら争う社会の仕組みが必要です。それを権利として保障するために、1998年に環境分野でオーフス条約が採択されました。中南米でも2018年に「エスカズ協定」が採択されました。
また、政策に参加する場合には、例えば開発許可であれば、許可申請開始前の段階から、どんな人がその開発によって影響を受けるのかを分析をして、影響を受ける人たちと事業者が、能動的に、法律の枠組みを超えて話し合いをすることが重要とのことです。
オーフス条約では、法律はあくまでも最低保障であると謳っているそうです。情報は無料で提供され、意見は書面だけでなく、双方向の対話ができるようにし、採用されなかった場合でも、懸念や、意見がどのように考慮されたのかが追跡できるようにし、最終的な決定を公表することで、決定にルール違反があれば裁判で争えるようになると語られました。
日本では再エネによる懸念の声も聞かれますが、懸念を隠さずに、どうしたら少しでも良い案を作ることができるかを一緒に考えた例として、青森で八甲田山の自然と風力発電の共生のために条例を紹介くださいました。
権利は掲げるだけなく、プロセスを積み重ねることで変化が生まれるため、小さな変化を積み重ねていくことが必要だと指摘されました。

一原雅子先生講演 「若者による気候訴訟」
今世界で気候訴訟が増えており、他国の判決が、国同士に影響を及ぼしているとのお話でした。例として、バヌアツ共和国の学生運動が世界で大きなうねりとなり、国際司法裁判所の勧告的意見を引き出したことを挙げられました。
先進国が中心に行ってきた気候変動法制に、十分に声が反映されない人たちが気候訴訟を起こし、裁判の蓄積でルールが作られ、適切なバランスで組み合わさっていくことがロードマップになると指摘されました。

横山涼大さん講演 「明日を生きる若者のための気候訴訟」
横山さんは、若者気候訴訟の原告の立場でお話されました。国内の気候訴訟はこれまで6件ですが、気候訴訴訟はエネルギー転換を促し、未来を守る手段の一つであり、世界では3000件以上提訴されています。
横山さんが求めているのは科学的根拠に基づく排出削減で、願うのは特別なことではなく、安心してスポーツを楽しめ、日本の四季の豊かさを感じられるような、当たり前の未来を守ることだと語られました。

パネルディスカッション
大久保先生は、子どもの頃に住んでいた仙台市に「地域子供会」があり、市長と対話し、広瀬川の清流条例ができたそうです。そのご経験から、子どもの頃に自分の意見が聞かれる経験が一度でもあると、ずいぶん違うのではないかと語られました。
Janeさんは、意思決定に若者を関与させることの大切さを強調されました。ウェールズでは、企業が政府の資金を受けるためには、未来世代法に沿って行動しているかを証明する義務があります。民主主義とは、5年ごとに投票するだけではなく、国民と、国民に代わって意思決定を行う人との間で、望む未来について対話が続けられるべきものだと述べられました。
ウェールズでは主権者教育で、市民の主体性や参加意識を育んできました。2003年に教育システムを変え、屋外教育の導入や「科目(分け)の廃止」を行ったほか、若者が同世代や教師などと、自分たちが望む教育や、今受けている教育内容について話し合うことができる参加原則を取り入れました。これが後の若者議会の創設につながりました。若者が生活のあらゆる場面で積極的に関わり、自分の意見を表明できる仕組みが、困難な未来に立ち向かう上で非常に大事とのことです。
未来世代・自然:声を挙げられない者を意思決定に置くために何ができるか
一原先生は、若者を一人の個として尊重すること。前の世代と後の世代が、正しいかたちで対話をするのが究極的な目標で、対等なよい対話のデザインも大事だと指摘されました。
Janeさんから日本の私たちへのメッセージ
まず、皆さんが愛する一番年長の人を思い浮かべ、次に一番年少の人を思い浮かべてください。その両方が、可能な限り最高の人生を送るにはどうすればよいでしょう?それを常に考えていれば、意思決定を変えることができます。
また、自然に出ることが重要です。もちろん人間は大事ですが、私たちははるかに大きな全体の一部で、それは、私たちが守るべきものなのです。
まとめ:小さな成功体験から
横山さんは、ビジョン・参加・小さな成功体験から積み上げていくこと。若者だけでなく、多世代に渡って議論して実現していくことが大事だと実感できたと締めくくりました。
おわりに:未来世代法を日本で実現するために…
未来世代法を日本で実現する活動はこれからです。皆がそれぞれいる場所でできることから実行していくために、これからも対話の機会を持ちたいと思います。
本イベントには80名の方のお申込みがありました。22名の方がアンケートに回答。「有意義な時間だった」「勇気が湧いた」などの声をお寄せくださいました。
当日の熱気はぜひアーカイブ動画をご覧ください。Janeさんの生の声は力強く、優しく、勇気をもらえますよ。字幕も付いています。希望の方は、メール(office@futuregenerations.jp)でご連絡ください。



