SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された世界共通の17の目標です。日本でも多くの自治体が、総合計画にSDGsのアイコンを並べたり、「SDGs未来都市」に選ばれたりしています。けれど、SDGsそのものには法的な拘束力がありません。どう取り組むか、どこまでやるかは、それぞれの判断にまかされています。
イギリスを構成する国のひとつ、ウェールズはちがいます。ウェールズ政府は、未来世代法(ウェールズ将来世代のウェルビーイング法、2015年)によって、SDGsを法律に組み込んだ世界で最初の国だと説明しています。
未来世代法は、SDGsをウェールズに合った7つの「ウェルビーイング目標」に置きかえ、それを公的機関の義務にしました。ここでいう公的機関には、ウェールズ政府の大臣、自治体、保健機関、消防などが含まれます。各機関は、7つの目標すべてに貢献するよう、自らの「ウェルビーイング目的」を定めて公表し、その進み具合を毎年報告しなければなりません。
法律は、目標だけでなく「進め方」も定めています。それが「持続可能な発展の原則」と、その中身である5つのやり方です。
・長期的視点(目先だけでなく、次の世代まで考える)
・予防原則(問題が起きる前、悪くなる前に手を打つ)
・統合的視座(ひとつの目標のために、ほかの目標を犠牲にしない)
・横断的協働(部署や組織の壁をこえて取り組む)
・市民参加(影響を受ける人たちに、計画の段階から加わってもらう)
そして、取り組みがきちんと行われているかを、独立した「未来世代コミッショナー」と「ウェールズ会計検査院長」がチェックします。地域ごとには「公共サービス委員会」がつくられ、自治体や保健機関、警察、消防などが一緒に地域の将来計画を立てています。
SDGsを進めることは、未来世代法を進めること
つまり未来世代法は、SDGsとは別の新しいテーマではありません。SDGsを「めざす目標」から「果たすべき義務」へと変え、実際に進めるための仕組みです。
SDGsに本気で取り組もうとすると、必ず次の問いにぶつかります。目標を誰の責任にするのか。どんな進め方で決めるのか。進み具合を誰が確かめるのか。未来世代法は、この3つに法律で答えを出しました。
だからこそ、すでにSDGsを掲げている自治体にとって、未来世代法の考え方を取り入れることは、まったく新しいことを始めるのではありません。いま掲げているSDGsを、本当に前に進めるための次の一歩なのです。
参考ページ:
「Sustainable development in Wales and beyond: measuring our progress」
(2023年11月10日、社会正義担当大臣ジェーン・ハット氏声明)
https://www.gov.wales/written-statement-sustainable-development-wales-and-beyond-measuring-our-progress

