みなさんは、地球憲章をご存じですか?
中米コスタリカの国連平和大学に設置された地球憲章国際本部(Earth Charter International: ECI)により2000年に公表された地球憲章の前文には、こう書かれています。
We stand at a critical moment in Earth’s history, a time when humanity must choose its future. As the world becomes increasingly interdependent and fragile, the future at once holds great peril and great promise. To move forward we must recognize that in the midst of a magnificent diversity of cultures and life forms we are one human family and one Earth community with a common destiny. We must join together to bring forth a sustainable global society founded on respect for nature, universal human rights, economic justice, and a culture of peace. Towards this end, it is imperative that we, the peoples of Earth, declare our responsibility to one another, to the greater community of life, and to future generations.
私たち人類は今、自分たちの未来を選択しなければならないという、地球の歴史上重大な転換点にさ しかかっている。世界がますます相互依存を強め、他からの影響を受けやすくなるにつれて、未来には 大きな希望と同時に、大きな危機が存在している。私たちが未来に向かって前進するためには、自分た ちが、素晴らしい多様性に満ちた文化や生物種と共存する、ひとつの人類家族であり、地球共同体の 一員であるということを認識しなければならない。自然への愛、人権、経済的公正、平和の文化の上に 築かれる持続可能な地球社会を生み出すことに、私たちはこぞって参加しなければならない。そのため には、地球上で生をいとなむ人間として、私達は互いに、より大きな生命の共同体に、そして未来世代 に対して、責任を負うことを明らかにすることが必要不可欠である。
「私たちは互いに、より大きな生命の共同体に、そして未来世代に対して、責任を負うことを明らかにすることが必要不可欠である」。
ウェールズで2015年に施行された「未来世代法=Well-being of Future Generations (Wales) Act 2015」は、2022.8.31現在 世界で唯一、包括的に未来世代への責任を実際の法律として制定し運用しているものです。
ウェールズに続き、イギリス本国、スコットランドでも制定に向けて国会で審議されており、来年2023年には国連で「未来世代サミット=Summit of the Future」の開催が決定しています
この「ウェールズ未来世代法」のすばらしいところは、未来世代のために現世代が犠牲になるべきという在り方ではなく、「今現在を生きる自分達一人一人の幸福が、未来世代の幸福にもつながる選択をしよう」という価値観や在り方を示しているところだと、私は感じています。
未来世代の幸福を、自分自身の幸福の中に含めるという発想は、この地球に生きるということの私たちの在り方をあらためて捉え直す視点だと感じています。
共に考えてみましょう。
私たち人間は、この地球に人間だけで生きているわけではありません。
すべての動植物、微生物、あらゆるいのちのつながり、それぞれがそれぞれの役割を果たし会う関係性の織物の中で生きています。
その織物の糸を切ることなく未来世代も生きることができる地球を引き渡すこと。
時間も、自分個人という枠も大きく捉え直す視点の中に、ウェールズ未来世代法が生まれたのではないかと、私は考えています。
概念と実際の暮らしを切り離すことなく、法律の中に明文化する。
日本では、どうできるでしょうか?
私たち一人一人の目標とする在り方を、法律に明文化する。
それは一度にできるわけではなく、少しずつ どこまで達成できているかを、数値化された指標を用いて示しながら、みんなで良き国、社会、世界、地球にして未来世代に引き継いでゆく。
それを仕組みとしてつくってゆく。
それが、未来世代法なのだと思います。
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